アスキラ(種)

「お菓子くれなきゃ悪戯するよ?」
起き抜けに枕元でいきなりそう囁かれ、オレは飛び起きた。
勿論起き抜けでお菓子なんか持っている筈も無い。
でもキラに逆らったら(ラクスにも逆らえないけど・・・)後が怖い。
しかも堂々と悪戯していい日なのだ。
キラが何もしないとも思えない。
本気で悩み、キラがオレをじっと見ている。
どうしようか・・・
「ねぇ、まだ?」
ついにしびれを切らしたキラがそう口を尖らせ聞いてきた。
もう駄目だ。
正直に言おう。
こんな朝早くから催促されると思って居なかったのでお菓子は無いと。
しかし、そう口を開いた瞬間にキラの指がオレのデコを弾く。
そう、所謂デコピンだ。
「お菓子、お昼までに用意してくれれば良いや。
用意しなかったらもっと凄い事、ラクスと共同戦線でしちゃうからね」
そしてキラは去って行った。
不穏と恐怖の台風は、まだ留まる術を知らない・・・





四月一日と遙さん(ホリック)

ハロウィン。
いつごろからだろうか、日本に認知されるイベントになったのは。
でも店主を始め、周囲の人物(特に店主な気が・・・)がお祭モードで『菓子くれ(直訳)』と要求してくるので四月一日は悪戯の被害に遭わない為にも手作りのお菓子を作って持って居た。
しかし、お菓子を強請ってくる強敵は何も生身の生き物のみとは限らない・・・
「やぁ、四月一日くん」
声がしたかと思い、振り返ると何故か百目鬼祖父。
即ち、遙さんだ。
「お菓子くれないとイタヅラしちゃうよ?」
にこやかな表情の彼には、何故か逆らえないオーラさえも見え隠れする。
「あ、はい、良いですよ」
何故此処にいるんだ!?とか突っ込みを入れたいが、何故か入れるタイミングを失い、四月一日は遙さんにお菓子を渡してしまう。
「いや〜、実に美味しそうなクッキーだねぇ」
しみじみと言う遙に四月一日は『それほどでも〜』と照れて笑う。
「これで静に行くはずだったお菓子が無くなったね。よし、勝った」
不敵に笑う遙。
四月一日はそこで鞄の中にもうお菓子のストックが無い事に気付く。
そして爺様は孫へ行く筈だったお菓子の包みをしっかりと持つと、ご機嫌な様子で消えてしまうのだった。
「オレはどうしたら良いんだよ〜〜〜〜!!!」
あたり一面に四月一日の悲痛な叫びが木霊したのは言うまでも無い・・・





お子様軍団(Dグレ)

日々窮屈で、悲しい戦いばかりなんだから少しは破目を外したいじゃない?
そう思い、衣装を作ったの。
ハロウィンの衣装よ。
でもね、みんなに何が似合うのかちょっと迷ってるの。
あ、でもコレだけは決まりvv
日本人形な神田!!
何かね、日本の呪いとか怖い話でよくあるんだって。
夜中に髪が伸びたり、目が訳も無く光ったり。
ほら、神田なら似合いそうだしvv
ラビとアレンくんはどうしようかな〜
誰かいい案をくれないかしら?





スザルル(ギアス)

「TRICK OR TREAT」
「はい?」
ブリタリアなんて大っ嫌いだ。
でも、何故かこのイベントだけは大好きだった。
だからスザクにも参加して欲しくて、そう呟いてみる。
そしたらこの返事だ。
知らなくて当然か・・・
知らない様だったのでスザクに一通り説明した。
「へ〜、面白いお祭だね。
じゃあ僕はルルーシュにお菓子をあげないと悪戯されちゃうわけだ?」
コクコク頷くと、スザクは困った顔をした。
「ごめん、お菓子なんて持ってないんだ・・・」
だろうと思ってた。
だからオレは・・・
「じゃあ悪戯だな」
そう言ってスザクの頬にキスをする。
「な・・・ルル・・・」
真っ赤になったスザクが可愛くて、思わずオレは微笑んでしまう程だった。





沖土(銀魂)

駄菓子よし。
飴玉よし。
酢昆布よし。
砂糖よし。
ありったけのポケットに、買い込んだ甘味やらを詰め込んで外に出る。
街中ではハロウィンらしい。
その期に乗じて襲撃してくるであろう奴らを見越しての装備だ。
お、攻撃を仕掛けてきそうなヤツを既に発見。
身構える。
「悪戯していいですかぃ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「普通は悪戯かお菓子で見逃すか選べるんじゃねーのか!!?」
確かそう言う話ではなかったか??
「そんな甘くは無いですぜィ、世の中なんて。」
お前に世の中を説かれたくねーよ・・・
沖田お前に良心は無いのか!!?
そう思うが、ヤツに良心があったほうが怖いと思い、仕方なく逃げるしか無くなるのだった・・・